男②

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男②

男は言った。 「あなたの作る食事はカライから、美味しくないと、あなたのお母さんは、言ってました。」 高熱が出て、体調不良の私に、労いの言葉をかけるどころか、そんな言葉を吐いた男。 私は、二度と顔を見たくないと思い、お別れした。 母を、かなり前から、知っている男。 母は、好きな物だけを食べていて、血液検査の結果は、悪い所だらけだった。 その事も知っている男。 その後、脳の病気を患った母。 その事も知っている男。 私が、食事を作り出してから、悪い所が全く無い、血液検査の結果。 男は、それも知っているはずなのに…。 何で気付かないのだろう。 私でも分かっているのに。 この男は、母の何を見ているのだろうか。 病気から、味覚障害が出てるという事を知らないのだろうか。 あれから、十数年…。 上半身裸の私の前に、2度と会いたく無かった男がいた。 そして、男は体に触れた。 市民検診。 目の前の医者。 あんた、どこ診てるんだよ。
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