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やっと、目的の期日前投票会場へ着いた二人。
いきなり、嘱託らしきおっさんが近付いてきて、「後は任せて下さい。」と言って、車椅子の女を、ぶん取っていった。
とり残された女は、嘱託らしきおっさんが、ヘルパーだと、勘違いしたのだろうと納得した。
そして女は、左からコの字に回るオープンスペースの、右側の出口付近に、サササと移動し、直立不動で待っていた。
女は、車椅子の女を、目で追う。
車椅子の女は、おっさんから、何か言われて立ち上がった。
しかし、おっさんは、車椅子のストッパーを止めていなかった為に、車椅子の女は、記入台に、つんのめった。
が、なんとかセーフ。
そして、車椅子の女は、記入が終わり、座ろうとした。
しかし、おっさんは、車椅子のストッパーを止めていなかった為に、車椅子の女は、背もたれに、つんのめった。
が、なんとかセーフ。
ここまでは、ギリギリのセーフだったのだが、おっさんは、直ぐに車椅子を発進させた。
車椅子の女の、麻痺をしている足は、引きずられ、台と床に巻き込まれた。
女は、レッドカードがわりの、真っ赤のネイルをした指を、おっさんに差し、デカイ声を発した。
「足が、危ない!」
会場中に響き渡った女のデカイ声、
会場中の人が、女を見て、赤い指先が向けられているおっさんを見る。
おっさんは、慌てふためき、車椅子の女の足を、なんとか台に乗せ発進した。
おっさんよ!任せられへんがな…と、女は心で呟いた。
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