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男48
バンドマンの男は言った。
「君の為に、曲を作った。聞きに来てくれ。」
二十歳の女は、音楽好きな友達の男を連れて聞きに行った。
ステージ上のバンドマンの男は、男連れの二十歳の女を見付けるなり、客席に背中を向けて、最後まで、背中を見せてフォークギターを奏でていた。
それ以後、一度も連絡をくれなかった。
初めて入った美容室。
美容師の男は言った。
「僕に任せて。可愛い女性に変身させるよ。」
出来上がった髪型は、左右15ミリ程アンバランスな、麗子像hairだった。
二十歳の女は告げた。
「このスタイルは、アシンメトリーですか?私、本当に可愛くなりましたか?来月の成人式までに、髪伸びますか?」
抑揚付けずに告げると、男は泣きそうな顔になって、謝ってきた。
女は、友達の女と、BARへ行った。
友達の女は、ベロベロに酔った。
BARの男は言った。
「心配だから、家に着いたら連絡欲しいので、連絡先の交換をしましょう。」
店を出て、タクシーに乗った女と、女友達。
家に着いたと女は、BARの男に文字での連絡をした。
BARの男から、文字が届いた。
知らない女の名前の文字と(安心した。)
知らない女の名前の文字と(おやすみ)
(又、会いたい。必ず明日も来てね)
最後に、又々知らない女の名前の文字と…。
そして、女は、(さようなら)の文字と、知らない女の名前を入れて、その女になりきり返信し、ブロックした。
バンドマン、美容師、バーテンダー、3Bの男には、気をつけるべしだと、二十歳だった女は思った。
そして…、
あれから30年。
二十歳だった女も、立派に3Bの女へと成長。
ブーブーと、ぼやく女 。
ボン!ボン!ボン!と、三段腹になった女 。
パートしか経験した事の無い、生活ギリギリのビンボーな女。
昔を、懐かしむ。
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