男53

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男53

女は、お見合い結婚をした。 女にとって、全てが、初めての男。 女の旦那は、医者。 仕事に対する姿勢が、誰よりも素晴らしいと、旦那である男を尊敬していた妻の女。 しかし、久し振りに抱かれた女は、性病にかかった。 女は、病気をうつした犯人の男に告げた。 旦那である男は、言った。 「ちゃんとした体の接客業のはずだから、そんな事は無いはずだ。」 ちゃんとした体の接客業!? 検査や手術を行う時、医者は必ず危険性を告げるし、渡された紙にも載っている。 ちゃんと資格のある、検査技師や医者なのにね…。 しかし、妻である女は堪えた。 ウイルス騒動で大変な時期。 医者である旦那の男に迷惑を掛けられないと思った妻の女は、毎日行ってたジムを休み、友達奥様達とのランチをやめ、自宅のマンションの地下にあるスーパーへ、往復だけの毎日。 ある日、医者である男は言った。 「暫く、仕事を休む。」 その晩、妻である女は、ニュースで知る。 旦那である男が勤める病院の医師数名が、高級な夜の接客業を行うお店で会食をし、病院は業務停止命令。 酒など一滴も飲めない男が、高級な夜の接客業のお店で、何をしていたのだろうか? 問いただせば、「高級な夜の接客業の店だから、そんなはずは無い!」とでも、言うのだろうか。 妻である私にだけに、迷惑が掛かる分には堪えていたが、 医者である男が、人々を怯えさせた事には、堪えられない。 そして、男に尊敬の念が消えた女は、離婚届けを置いて、子供と共に、実家に避難した。 病気というものは、男が拡散するのだろうか。 愛し合いたい男とさえ、濃厚接触出来ない恐怖の世の中。 一日も早く、世界が平和になりますように…。
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