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男57
知り合いが、男を紹介してきた。
かなりの久し振りの紹介に、女は少し緊張していた。
最初から、名字は教えて貰っていたけれども、
初めて会った男に、女は聞いた。
「下のお名前も、伺ってよろしいでしょうかぁ〜?」と。
男は、真顔で言い放った。
「そんな簡単に、個人情報は教えられません。」
と。
女は慌てて、「すみませんでした。私は○○○○と、申します。
なんと、お声かけして良いのか分からないので、お名前を教えて頂けないでしょうか?」
そんなやり取りの後で、やっと教えて貰った。
(メンドーな男だったか。)
女は、これからの苦痛の時間を、どう過ごしていけば良いのか、頭をフル回転した。
その後男は、自分の得意分野の歴史について話し出した。
女が、スゴいですねと言ってしまったばっかりに、
男は、その後も、息継ぎを忘れたかのように、歴史を語り出した。
全く、歴史に興味が無い私は、
テキトーに、聞き流していたけれども、
「そうなんですね。本当によくご存知で凄いですね。」と、間々にホメてみたら、
ドヤ顔しだした。
今を生きる事に精一杯の女には、
過去などに興味無く、
そして目の前の男にも、
全く興味が無くなってしまっていたのだけれども、
その後も、歴史話は止まらないので、
「歴史上人物で、どなたがお好きなのですか?」と、軽く質問をしてみると、
「○○です。」と、男は言った。
女は、「○○?とは、どのような方なのですか?」と、聞いてしまった。
男は「何も知らないなんて、バカだな!」と、女に言い放った。
(なんだとぉーーー!)
その後も、クイズ形式で歴史話を出してくる男に、
何も答えず無の境地を決めた女に対し、
「本当に何も知らないんだな!本当にバカだな!」との言葉を繰り返す男。
初めて会った男に、この日だけで、何度バカと罵られたのだろう。
とうとう我慢ができず、女は反撃した。
「なぁ~私も、クイズ出してもエエかなぁ?今から出す野菜で、どんな料理が出来るか?考えてや!いくでぇー。」
「蓮根」
男の表情は、 固まった。
「人参、蒟蒻」
男の表情は、固まった。
「鶏肉」
男の表情は固まった。
全く分からなかったのか、
男は、とうとう下を向き出した。
しかし、横にいたママと呼ばれる女が、手を上げ答えた。
「筑前煮。」
「正解です。」と、答えた女。
ママと呼ばれる女は言った。
「この子に、まだ蓮根食べさせた事無いかも…。」
四歳の男との会話は、こうして終わった。
(ごめん、君とは、結婚は無理だ。)
と、女は思った。
県のリーダー男も、この4歳児男も、一緒なのだろうなぁ。
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