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男56
ここは乙女研究所である。
本日は、1年に1度の、研究発表の日である。
乙女調査員達は、この日の為だけに、調査を続けてきたのだ。
先ずは、1人目の乙女が発表。
「ここの店は、本当に美味しい!と…、ラーメン店の情報ばかりを教えてくれた男の言葉を信じて、そのラーメン店へ行って、食べてみたら、なんと!全部コテコテ味でした。
そして、1年間ラーメン店を食べ歩いた結果…、
私は、かなり太りました。
そう思えば、その男も、やっぱり太っていました。
味の濃いラーメンを食べ続けると太る。そして、太っている男が、美味しいと言う食べ物を食べ続けると、必ず太る!という結果が出ました。
以上です。」
パチパチパチィ。
2人目の乙女は、少し困った顔をして立ち上がり、発表し出した。
「この一年間、毎日同じ自動販売機で、ドリンクを買う男を調査しました。
男が、買っていたのは…、
寒い日は、ミルク砂糖入りのホットの缶コーヒー。
そして、疲れた顔をしてた日は、エナジードリンク。
そして、暑い日は、ミルク砂糖入りのアイスコーヒーか、カルピスソーダーの4点でした。
その4点のドリンクを、摂取していた男は…、」
2人目の乙女は、1人目の乙女をチラ見してから言い出した。
「太っていました。」
そして、続けて、
「甘味料が含まれたドリンクを、毎日摂取している男は、太っているという結果が出ました。以上です。」
そう発表した2人目の乙女は、少し悔しそうな顔をして、着席した。
パチパチパチィ。
3人目の乙女が立ち上がった。
「えー、この一年間、同じタイプの男に、【これどうするの?】と、声を掛けました。
すると、全ての男は、【後でする】と、言いました。
ある男の部屋は、座る場所が無い程の、ゴミの山となっていました。
ある男は、散らかっている服を嗅いでから、着ていました。
きっと洗って無いと思いますが…、
まぁ、全ての男は、【後でする】のだろうと、想像します。」
と、発表した後で、
「そして、ある男のゴミの山には、カップに入ったラーメンが、ほとんどだったのでしたが、たまには、お料理もなさるのでしょうか?
鍋で作らないといけない、ラーメンの袋もありました。
そして、ある男の部屋では、CMで見た事がある、スナック菓子の袋が散乱。
このような食生活をしていた男達は…、
全員太っていました。
しかし、ある男の部屋では、床の踏み場が無いほど、ビール缶が散らばっていたのですが、
その男だけは細かったのです。
でも、お腹だけは…、大きく出ていました。
そして、一年間調査した結果は…、
【後でする】という言葉の意味は、【未定】だという事が、分かりました。
そして、【その後】も【未定】でした。
以上です。」
女は無表情で着席した。
パチパチパチィ。
そして、乙女博士は立ち上がった。
「皆さんの研究発表、本当に素晴らしかった。
太るには、やっぱり理由がありましたね。一年間の調査、本当にご苦労様でした。
研究発表とは、異国のお言葉では、Research presentationと言うらしいです。
では、私の研究結果を発表します。
一年間かけて調べていたエロエロウイルスは、男のみに発症する事が分かりました。
子孫繁栄をストップさせる為に、一人しか産んだらアカン政策を打ち出した後に、
偶然にも、どこからかエロエロウイルスが発生しました。
そして、このエロエロウイルスは、日本だけでなく、数ヶ月で世界中を脅かす結果となりました。
日本では、濃厚接触はアカン!不要不急のエロはアカン!と、政治家が声をあげ続けてきたのに、その政治家が、エロエロウイルスに犯される結果となり、緊急事態宣言が出た日に、とんでも無い事を、しでかしていました。
そんな男達は、夜の蝶々女がいる所へと、フワりフラりと行ってしまい、その側にいた男達に、エロエロウイルスが移り増え続け、エロエロウイルスに犯された男達の職場へと、広がりました。
しかし、男だけでなく、ドンドン女達にも、被害が広がっています。
特定の男を持つ女達は、自分の男が出歩かないように、見張っていましたが…、
家から出れなくなった男達は、特定の女との濃厚接触が増え、望まない子供達が、続々と産まれるという結果に…。
彼女持ちの男は、言いました。
「ウイルスのせいで、マスクもゴムも無いねん。外に出すから大丈夫やからな。」
若い彼女である女は、愛する男の言葉を信じて、はたまた(本当に?)と、心では思いながらも、男に何も言えずに、行為を許してしまう。
セックスレス夫婦だった、旦那の男は言いました。
「どこも出掛けられへんし、久し振りにヤるか!?」
更年期世代である妻の女は、(久し振りに求めてきたわね、ウフフ。)と、
生理不順になってきたからと、きっと大丈夫だろうと、そのままを受け入れてしまう。
そして、女達は、月のもんが、やって来ない事に気付く。
日々、大きくなるお腹…、どうすれば…と、悩む若い年齢の女達。
そして、こんな歳で!?と、悩む更年期世代の女達。
お腹の子供達には、なんの責任も無い。
そうなのです!
だから私は、不幸な子供達を増やさせない為に、早くエロエロウイルスを消滅させたいと、思います。
このエロエロウイルスが、世界を震撼させたのは、きっと男達に、【理性を持て!】と、訴えかけているのだと思います。
なので、自分の快楽だけを求める男という生き物に、相手の気持ちを組取っていく生活様式にと、変化の時代がやって来たのだと思います。
そう!結局は、相手への思い遣りです。
これから先、感染の状況が厳しい地域では、婦人科の医療崩壊が考えられます。不幸な子供を増やさせない為に、引き続き、基本的には、「徹底した行動変容の要請」が必要となります。
一方で、再度感染が拡大する可能性があり、長丁場に備え、感染拡大を予防する新しい生活様式に移行していく必要がある。と指摘がありました。
専門家会議では、これまでも、感染拡大を食い止めるために徹底した【男の行動変容】の重要性を訴え、女との身体的距離確保といった基本的な感染対策の実施、【女との濃厚接触】を徹底的に避けること、【女との濃厚接触を8割減らす10のポイント】などの提案を重ねて呼びかけてきました。…が…、男というものは…、やっぱり女を求める…。」
乙女博士は頭を抱えた。
「すみません、一年間掛けても、まだ結果が出せていません。エロエロウイルスの終息は、まだ未定です。
私はいつか、終息させたい。」と言い、ツラそうな顔をしたまま、着席した。
部下である私は知っている。
不幸な子供を増やさせない為に、
毎日遅くまで、エロエロウイルスの研究していたのを…。
仕事が大好きで、そして心優しい昭和の乙女の博士の事を…。
でも、乙女博士は、稼いだお金を、家でゴロゴロしている豚へと、貢いでいるのも知っている。
五人姉妹の長女の昭和の乙女博士は、面倒見の良さは、天下一品。
ダメな男を見付けると、どうにかしてあげたいと思う、ダメンズ養成人間だという事を、男兄弟ばかりの中で育った、昭和の部下である私は、知っている。
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