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簡易的とはいえ地図がある。こいつを辿って行けば戻れる……はずなんだが。とっくにどこかで道を間違えたらしく、見覚えのない場所を歩いていた。
「こいつは本当に参ったな……」
自分の愚かさに嘆くあまり、思わずボヤく。
自分がクローディーの方へ戻っているのか、目的地の遺跡群の深部へ向かっているのか、見当違いな方向へ進んでいるのかすら分からない。
何度か大小様々な階段を片っ端から登って行くと、水路から離れ、大きな空間にたどり着いた。
松明もそろそろ燃料切れが近いだろう。いまの階段が正解ならいいんだが。
そう思って歩いていると、無音の静寂の中、天井から地を叩くような連続した控えめな打撃音のようなものが、複数右から左へ流れて行った。
何かの……いや、これは何人かの人の足音だ。
物音がしたという事は地上が近いという事になる。
これはもしかしたら、出られるかもしれない。
しばらく進むと、左手に大きな階段が現れた。誘われるように俺はその階段を登って地上を目指した。
すると、灰色の塵を巻き上げて舞う風が僕を出迎える様に荒ぶ。
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