見えない明星

7/24
前へ
/315ページ
次へ
手元の装備では、武器は短剣と狙撃銃だけ。男幾人を相手に立ち回れる武器ではない。 あれを使わざるを得ないだろう。寧ろ、使えば迅速に終わりはする……。 だが、その後の事を考えると、自分の正体を明かすのは気が引けた。 避けられはしないだろう……。まぁ、仕方ないか。 僕が手の甲に刻まれた浅黒い線の一つ一つを点灯させると、背後に巨大な影が現れた。 とても地下では使えない様な、大きな影だ。 「ゼペルビュース。ひと暴れしてやろう」 † 妹とお揃いの灰色の外套を翻し、舗装された、硬く、苔むして草木が生えている、人工の地面を蹴って走った。 廃材や、建物の断片が転がっているので躓かない様に注意しながら、それでも速度を落とさないように、妹の手を引いて走り続けた。 沢山の影に壁まで追い詰められて、妹を自分の後ろに庇い、見渡す。 妹のフェイを逃がすにはどうすればいいか頭を巡らせた。 追い掛けて来た七人ほどの男達は、立ち止まるやいなや、私達の身体を足元から顔まで舐めまわす用に観察した後、不気味に笑い声をあげた。
/315ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加