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「こいつは二人とも美人さんだなぁ。なあ美人さんよ。俺達を慰めちゃくれねぇかな」
一番近くにいた男はいやらしい笑を浮かべつつそう言った。皆同じ笑みだ。私の、妹の身体を見つめて、よからぬ事を想像しているのは明らか。
卑しい視線を睨み返しながら右に逃れようとしても、左に逃れようとしても、すぐ様男達が立ち塞がる。
どうしても逃げられない。廃材に埋もれかけた後ろの壁を見上げる。
ツルツルしていて捕まる場所はない。……とても登れそうもない。
男達がじりじりと迫ってきていた。
もう、選択の余地はない様ね。
悲鳴をあげる心をなんとか押さえつけて、私は纏っていた外套を脱いで服の裾に手を掛けた。
男達から狂喜の歓声があがった。
「い、妹だけは助けてください。その代わり、私は好きにしてください」
「お前一人で俺達全員の相手をするってのか?そいつはちょっと荷が重すぎるんじゃないか?……そっちの嬢ちゃんにも手伝ってもらわないとなあ」
そう言って、男が妹の細腕を掴んで引っ張り出す。
「大丈夫です!……私一人で何でもやれます」
本当は嫌だ。鼓動が恐れで早鐘を打っている。
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