見えない明星

9/24
前へ
/315ページ
次へ
「お、お姉ちゃん」 ニーナも私が何しようとしてるのか伝わったらしく、涙目で私を見上げた。 「大丈夫……先に帰っていなさい」 そう言ってスカートを脱いで、月光に映える白い下着をさらけ出して、妹を掴んでいる男の方へ歩む。 男達の誰かが甲高い口笛を一つあげた。 「へっ!それが本当なら早くするんだな!あんまりちんたらしている様だと、お嬢ちゃんにも手が伸びちまうかもしれねぇぜ?」 妹から手を離し、私の肩に黒く煤けた手を伸ばす、この野盗共を、取り仕切っていると思われる男。 押し倒される。そう思って目を閉じて身体を強ばらせてしまう私。 辛い時間は今だけ。いつか終わる。……でも終わった後で殺されるかもしれない。 それでも……ニーナの為なら。 いつまで経っても、薄汚れた手が私の身体に触れることは無かった。 不思議に思って薄目を開けると、リーダー各の男は地面に伏していた。 「だ、誰だ!?」 男達がそれぞれ周囲をキョロキョロとして、狼狽えていた。 「どこにいる……!出てこ……がはっ!」 私には何が起こっているのか未だにわからない。 理解しない内に目の前の男がまた倒れ、動かなくなる。
/315ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加