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水色ジャケットのガンマンは馬の背から腰を浮かせて姿勢を維持しながら、二十六年式拳銃を撃った。激しく揺さぶられる馬上で見事にコルト拳銃を持つ盗賊に当てた。
仲間が落馬して、気付いた残りの盗賊達は慌てた。後ろを振り向いて撃つが、自分の馬の振動に加えて、相手が距離をおいて左右に動くので当たらない。
単発散弾銃の盗賊も体をひねって撃ったが、撃つ直前に死角となる反対側に回りこまれた。落ち着きのない動作で銃身を折って、薬莢を排出すると腰に巻いた弾滞から弾を抜こうとしたが、水色ジャケットの少年ガンマンの銃弾が長い銃を跳ね飛ばした。
怒った盗賊は馬を急旋回させると少年の馬に体当たりした。少年はバランスを崩したが何とか落馬を免れた。しかし、盗賊に視線を戻した少年は肝を冷やした。盗賊の手には銃身と銃床を切り詰めて短くした二連発の改造散弾銃が握られていた。
この至近距離で発射されれば散弾の雨を浴びてしまう!
『ダアァァァァン!』
銃声が響いた。だが、撃たれたのは盗賊で、体を折るようにして馬から落ちた。
少年の視界に白馬に跨がった赤服のガンマンが駆けてくるのが見えた。手にはモーゼル大型拳銃。並ぶと、少女だとわかった。
お互い何も知らないが、目を合わせると頷き、愛馬の速度を上げた。
残る二人の盗賊は自棄になったのか、銃を乱射しながら馬車に接近した。無茶苦茶な戦法だが、後方のガンマン二人には馬車に流れ弾が当たる危険があったので撃てなかった。
しかし、トカレフの方は弾が尽きたので遊底が後退した。馬車の人達は反撃しようとしたが、もう一人の盗賊が自動車用の赤い発炎筒を着火して荷台に放り込んだ。煙を主としない発炎筒でも、筒の中で燃える火薬はムカつくような臭いの煙を放つ。
馬車が煙に包まれると、弾の無くなったトカレフを捨てた盗賊は荷台に。発炎筒を投げた警察銃の盗賊は御者台に飛び乗った。
驚く母親と子供。荷台では丸腰の盗賊が煙を盾に弓矢の人を殴った。ライフルの人は銃を棍棒にして立ち向かったが、煙で意識が朦朧としていたので逆に組み伏せられてしまった。
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