形見と戦利品

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 それを聞いた少年少女ガンマンは互いに視線を交わすと打ち合わせていたように小さく微笑んで、また視線を戻した。 「それは覚悟の上ですから」 「私達、渡り鳥の使命です」  二人の決意に、ようやく大人達は決心した。誰からとなく「残って、戦う」「私も」「武器は使えないけど火消しなら」「負傷者の手当てならできる」と立て続けに声が上がった。  こんな奇跡の一致があるのだろうか?  いや、言葉では語り尽くせない困難を乗り越えてきたこの人達だからこその強さがあるのかもしれない。そうでなければ壊れた世界を再建するなんてできなかったに違いない。  この人達を見て、タキトとアイナの決心が強まった。  この人達は自分達が守らなくてはいけない、と。 「よし!」  タキトは手を叩きながら威勢良く街の人達に声を出した。 「そうと決まったら、戦いに備えて街の防備を固めましょう」 「守りも大事だけど、この人達に必要な武器も手に入れないと」  隣のアイナが言う。確かに、攻守が揃わないと戦いにならない。 「大丈夫、考えてあるよ。銃や刃物ばかりが武器じゃないさ」  タキトが自信満々に言うと、トラックの横に立つユウが「あのう」と声をかけてきた。 「トラックの荷台に箱みたいなのがありますよ」 「一応、調べておきます?」  兄に続いて、妹のヒミカも指差す。そう言われると気になるので、タキトとアイナ、エリはトラックに歩み寄った。確かに、荷台の運転席側に青緑色のビニールシートが幾段にも角ばった状態で掛けられている。昨日、敵地から逃げる時にトラックの運転を務めたエリは動かす事に専念したので気付かなかったとの事。  彼らは開閉板を下げて荷台に乗るとシートを解いた。現われたのは黒い防腐油を染み込ませた大小の古い木箱が現われた。蓋はガムテープで雑に張られている。 「もしかして、これは・・・?」 「ええ。開けてみましょう!」  渡り鳥のタキトとアイナはそれが何か直感でわかった。まずは一番手近にある小型の箱に手を伸ばすと、テープを剥がして箱を開いた。
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