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その時、私は後悔した。
“なんで、七世が止めてくれた時にさっさとその場を離れなかったのだろう”
と。
真っ赤な光やサイレンの音が鳴りひびく町中。
私は、ぽつんとたたずむことしか出来なかった。
目の前には、翼、と名乗る少年が………まるで土下座をしているような体勢で、泣きながら地面に頭を擦りつけている。
――――ねぇ、七世。あなたはどうして助けたの?
あんなに酷い言葉を投げられてまで、助ける必要があったのか。
私の心に黒い、暗い何かが溜まる。それは私の心のバケツからはみ出して…溢れて…恨みを生み出していた。
――――今、私はどうすればいいの?七世、あなただったらどうしているの。
私は、翼くんと七世の関わりは知らない。どれだけ仲が良かったのか、とか。どれくらい信用していた、とか。
でも、七世が身を張って助けた人なのだから、大切な人なんだよね。
私はあなたを信じる。
だから、
だから―――――
早く戻ってきて…っ!
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