女王様と俺

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「おい、結局ぎりぎりじゃんか。なにやってんだよ!!」  いつも元気な岡本は昼間からきゃんきゃん吠える。 「わり・・・。でも資料は保坂が会議室に届けてる筈だから、行こう」  手荷物もそのままに先へ進もうとした池山の肩を掴んで止めた。 「おい待て、立石に会わんかったか?ちょっと外に出ると言ったっきり戻らねえんだけど」 「あ・・・」 「・・・あ」  池山と江口は顔を見合わせる。  よくよく考えたら、この面子で立石抜きはありえない。 「ええと、会うには会った。そうだな・・・。そろそろ戻ってくると思う」  チューの一つでも貰えたら。  そんな考えがちらりと頭に浮かんだところで、ずかずかと足音が聞こえた。 「…悪い。今戻った。行こう」  憮然とした声に振り返った三人は顎をはずす。 「ちち、ちょっと立石、どうしたんだよ、その顔」  立石の浅黒い肌でも解るほどくっきりと、殴られた跡が頬に出ていた。 「・・・チュー、もらえなかったか…」 「いや、ありがたく頂戴した。だがそのあとが悪かった…」 「チューしたんですか、また…」 「またってなんだよ、またって。いや、なんのチューだよ」
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