女王様と俺

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 哀愁漂う背中を見送りながら、岡本はつぶやいた。 「あの顔で行くのか?あいつ」 「行くだろうねえ。それがあいつだから」 「つわものを通り越して、正真正銘のバカだったんだな、立石って…」  岡本と池山の予想通り、立石は頬を腫らしたまま社内をがんがん歩き、会議では何事もなかったかのように冷静沈着に事を進め、誰ひとりその理由を尋ねる機会と勇気を与えることはなかった。  ただし、女子社員達の間で様々な憶測と色とりどりの噂が間欠泉のように噴出したは言うまでもない。
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