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貴士もこっくりうなづいた。薄暗くなってはっきり見えないが、耳の後ろ側が赤く染まっている気がする。
「私のどこが好きなの?」
つないだ貴士の手が少し震えた。
「ごめん、いい、言わないで。いじわるな聞き方し……」
「腹減ってるとラスクくれるところ」
ふいに貴士が足を止め、菫の方を振り返ったので、思わず言葉が途切れた。
「お笑い芸人の好みが一緒なところ」
「先生の手伝いをよくしてるところ」
「たいして仲良くない子にも物貸してるところ」
「面白い映画とか教えてくれるところ」
「あ~~、もういいです! なんか恥ずかしくなってきた。神武くん、一週間分くらいしゃべったんじゃない?」
菫は貴士が真面目に答えてくれてるのもわかっていたが、なおさら恥ずかしく、つい茶化してしまった。
「比嘉こそ……俺のどこがいいの? 俺、自分でもつまんないヤツだと思うし」
菫は口を開きかけたが、顔が熱くなってきて、言葉にならなかった。
言えないよ。ジャンプしてる姿がめちゃめちゃかっこよくて、好きになっちゃったなんて。
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