15人が本棚に入れています
本棚に追加
でも流れ星のおかげか、貴士は今かなり勇気が出ていた。
菫に自分のどこが好きなのか訊かれ、できる限り答えた。一生分の勇気をふりしぼった気がする。
だから貴士も訊くことができた。
「比嘉こそ……俺のどこがいいの? 俺、自分でもつまんないヤツだと思うし」
菫が真っ赤な顔で少しうつむいているのを見て、貴士まで汗が出てきた。
「あ、いいや。俺もはずかしくなってきたし」
「みんなが嫌がること引き受けるところ」
「え?」
「資料室の整理とか、側溝の掃除とか……」
「ああ、あれ。背だけはあるから昔から整理するのに呼び出されるの慣れてるし、側溝は練習場所のすぐそばだったから、自分が綺麗にしたかっただけだし」
「私が困ってるのとか、具合が悪いのとかすぐ気づいてくれるし」
「…………」
それはさすがに貴士も答えられなかった。いつも彼女を気にして見てるからだ。
「あのね、な、夏休みって、ずっと部活なの?」
「いや、休みの日もあるけど……比嘉こそ、野球部の応援行くんじゃないの?」
貴士はハイジャンプが好きだが、たまに野球部が羨ましくなるときがある。菫に(吹奏楽部に)何時間も演奏してもらえるからだ。
最初のコメントを投稿しよう!