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2か月半以上そんな事をしていたが、まったくかすりもしない。
見えない影を追ってるみたいで心が折れそうになる。
「あんま1人にのめり込むなって。オンナ調達してくるから」
アキラは自身も忙しいはずなのに、俺が東京出張のたびに飲みに付き合ってくれるようになった。アキラなりに心配してくれているのだろう。
「だったら……」
もはや恋焦がれすぎてサヤを脳裏に描くと胸がちりぢりする。天国と地獄が同時にやって来る。
「絹みたいな黒髪で、真っ白な肌で、涼しい目で、胸がおっきくて、ツッコミ上手で、笑顔が可愛くて、辛い心の裡をそっとすくって抱きしめてくれて、たまに天然で、泣き顔が綺麗で……キスがしっくりくるコを連れて来てくれ」
「いねーよそんなオンナ。バカかお前夢見てたんだろ」
「いるんだって。いたんだって……」
「どこに住んでるのかも聞いてねーのか」
「三重」
「ん、まさかお前……三重まで行った!?」
「行ってるけど」
「うっわーー! ヤバすぎるっ! おまわりさんこの人でーすっ!」
アキラはズササーっと仰け反った。
「黙れ。沖縄のダイビングショップ行って顧客情報出せって詰め寄らないだけマシだろ」
「そこまでやっちまったらそれこそ手遅れだわ」
「あぁもう……なんで無理やりでも連絡先聞かなかったんだろう……」
一生の後悔だ。
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