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「なにも見えない……」
「どんな気分?」
「へんな、かんじ……」
視界と手の自由を奪われたらもう何もできない、一方的に支配されるのを受け入れるのみ。信じれないくらい溢れて濡れていた。動くたびにびちゃびちゃと音がするようになった。
男は視覚情報がないといまいちだが、女の子は視界を遮られると感覚や聴力や想像力が豊かになるのだろうか?
そして大胆になるのだろうか?
「もっと……」
あのサヤが、俺を欲しがって腰をくねらせている現実に卒倒しそうになる。
「サヤ、エロくなったよね」
そんな風に言うのが精一杯だった。
「ぜんぶリョウのせいだから……優しくされるのも、激しくされるのも、支配されるのも……すき……」
懸命に喘いでいる口の中に指を挿れると、舌と唇と唾液が官能的にまとわりついた。まるで俺自身がサヤの口の中でそうされているようで、子供みたいに胸が踊った。
すっかり育って、怖がって子犬みたいに震えていた子と同じとは思えない。
「キスマークつけていい……」
一旦腰の動きを止め覆い被さり、乱れている髪を丁寧に片側に寄せる。あらわになった白いうなじに唇を寄せちゅうと吸いつくと赤紫の痕がついた。
「そこは見えちゃう……」
「見えなきゃ意味ないだろ」
「えっ」
「髪アップにしなきゃ見えないよ」
事実上のアップ禁止令だ。女の子は平気で髪をアップにするが、うなじに欲情する男は多い。うなじだけじゃない。耳たぶ、横顔のまつ毛、……女の子のありとあらゆる部位が、男の勝手な妄想の材料になる。
「見えるとこにはつけない」
見えるところにはつけない、その反対は見えないところにはつけまくるという意味だ。
背中、お腹、脇腹、お尻、太もも、肩、胸――全身何十箇所についた痕は紅く濃く、自分の中の独占欲は凶悪だと確信する。
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