4.アヤとキヨシ

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「言いたくないとは思うけど、解決させるためにちゃんと教えて。見たのは動画だけ?」 「動画と画像……」 「画像?」 「ドレスの上半身が、脱がされてる画像……最初にそれを見せられた」 ガタガタ震えているサヤをなだめながらしばし考えた。あの日起こったことをひとつずつパーツにして並べる。 パーティー、トイレで眠っていたサヤ、少しだけ下がっていたドレスのジッパー、薬、すぐに捕まった犯人の女。 そして動画と、画像……そういうことか。カラクリが分かった。 「その動画はフェイクだ」 「えっ」 「その動画の女はサヤじゃない。正確には画像と動画の最初の方だけはサヤだったかもしれない。けど、そこから続きは編集だ。似た体型のオンナに同じ場所で同じようなカッコさせて同じような下着でも着せて撮ったんだろう。恐らくあの女だ」 「あの人……あの捕まった人?」 「そう。画質、荒かっただろ?」 「荒かった……モザイクみたいで」 「いくら背格好が似てる人間でも綺麗な画質だったらさすがに別人だって分かる。あえて粗くしたんだ。先に見せた画像は、サヤに動画は自分だと先入観を持たせるための仕掛けみたいなもの」 まだ半信半疑の顔だった。 「大丈夫。絶対違う。警察は防犯カメラを見てる。真中さんがそれを行っていたら、絶対映ってるはずだろ?」 「確かに……」 「サヤは気を失ってたからいまいち分からないかもしれないけど、動画や写真を少し撮るのが精いっぱいで、それ以上をしている時間なんてなかったはず」 「本当に……?」 「その動画を信じて口車に乗ったりしてたら、撮影されて思うつぼだっただろうけど」
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