君との思い出はきら星のようで

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君との思い出はきら星のようで

◇◇  とある偉人は、こう言った。   ――愛されるのを待つよりも、愛することを。  ただし、実行するのはすごく難しい。  まだ一七歳の私がそう悟ったのは、おばあちゃんやママに連れられて、人の生死や死後の姿を多く見てきた影響によるところが大きい。    幼い子供を残して無念の死を遂げた母親。  不慮の事故で家族に別れを告げた父親。  先天性の重い病気に冒されて両親の愛情を知る前に泣くのをやめた赤ん坊……。    私たち口寄せ巫女の一族は、安心して彼らがこの世を去れるように手助けすることを生業としている。    それでも『守護霊』となって、この世に遺した家族のそばを離れようとしない人々も多い。  肉体を失い、誰からも愛されなくなってしまってもだ。  つまり、彼らは見返りを求めずに、大切な者を愛するためにこの世に残り続ける。  そして遺された者が、幸せに向かって勇気ある一歩を踏み出せた時に、ようやくあの世へと旅立つのだ。    私はそんな彼らのことを尊敬してやまない。  なぜなら人は『いつだって愛されたいと願うもの』だから……。  
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