5人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねえ」
と声をかける。
窓ぎわの席、頬杖で外を眺めていた晴川くんが、あたしのほうを向く。
まつげ長めの、ちょっと猫っぽい目にじっと見つめられて、心臓がバクンと脈打った。
こんなに真っ正面から晴川くんのこと見たの初めてだ。
やばい。嘘みたい。めちゃめちゃカッコイイ。奇跡。……じゃない! あたしは今、怒ってるんだ!
「どうしてそんなふうになったの」
気をとり直して続ける。
あたしの言ったことがピンとこなかったらしく、晴川くんは首をかしげて、
「なにが?」
久しぶりに聞いた声。懐かしさと愛しさで、胸がキュッと締めつけられる。
しかも、なにそのリアクション。無自覚にあざとかわいい。ずっと見てられる。……じゃなくて! あたしは怒ってるんだってば!
「中学のときはちがったよね。なんで今ぼっちなの」
直球な質問。晴川くんは答えない。窓からの風が、そのナチュラルなこげ茶色の髪を揺らすだけ。
すごいサラサラ感。え、むり。好き。好きすぎてつらい。死ねる。……じゃないんだって! あたしガチに怒ってんの!
最初のコメントを投稿しよう!