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「晴川くん、ほんとはそういうキャラじゃないよね。もっと明るくて、誰とでも仲よくできて、クラスの中心にいるべきで……!」
イライラとドキドキがごちゃまぜになって、首からうえがカーッと熱くなる。
責めてんだか誉めてんだか、自分でもこんがらがってきた。
晴川くんも、なに言ってんだコイツって思ってるにちがいない。
でも、だからって女王がこんなことで怯んでられない。あたしのほうが、今は立場が上なんだ!
負けるもんかと唇をひき結んで、リアクションを待つ。
ふっと視線をそらした晴川くんは、もう一度窓のほうを向いて、
「好きな子がいた」
とポツンと呟いた。
うるさく鳴っていた心臓が、一瞬で止まるかと思った。
のぼせていた頭からスーッと血の気がひく。
手足が自分のじゃないみたく、ピクリとも動かせない。
晴川くんの声が続く。
「その子は、つまらなそうに唇をとがらせて窓の外を見てることが多かったんだ。なにが見えるんだろうって、ずっと気になってたんだけど」
なんの話してんの。なんで急にそんなこと言うの。ぜんぜん関係ないよね。
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