きみの景色がみたい

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「でももう、いなくなった」  冷たい汗が全身ににじんでくる。息がちゃんとできなくて、クラクラめまいもしてきた。 「っていうのは正確じゃないか。その子は今じゃクラスの中心にいて、窓の外を見る暇なんてなさげで。まえに俺が話しかけたことなんて、きっともう忘れてるだろうな」  誰のこと? ななぴ? あやにゃ? それ以外の女子?  知りたい。知りたくない。もういやだ、聞きたくない、聞きたくない、聞きたくない! 「みんなが見て見ぬふりする面倒ごとを知らん顔しないとこも、それを誰かにアピールするんじゃないとこも、大好きだったんだ」  晴川くんが席をたつ。  目線逆転。あたしが見おろされる形になる。 「その子の見てるものを知りたくてこうなった。でもムダだった。俺、失恋したんだ。高校も同じになれて、2年連続クラスも一緒で、すごい嬉しかったんだけど。……そっちこそなんで変わっちゃったんだよ。あのままでいてくれたら良かったのに」  悲しげに眉をさげて、晴川くんが教室を出ていく。  窓からの優しい風が、あたしをなでる。  待って、今の話って――。
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