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「由詩お兄ちゃんは、今度いつ帰ってくるの?」
電話越しに、可愛い恋人はそう言った。
長期休み以来、なかなか時間がとれなくて……俺達は遠距離恋愛の最大の敵である『寂しさ』と毎日格闘していた。
恋人の名前は『矢馬田まどか』、高校1年生。
当時小学生だった彼に一目ぼれに近い状態でちょっかいを出しはじめ、うまいこと恋人関係になれたものの、彼の本性に驚かされる日々を送った。
まどかは、ちょっとイジワルで、ドのつくサディストだ。
気づけば形勢逆転、俺はまどかに快感を与えられる側になっていた。
「次の連休に帰るつもり。会えそう?」
対する俺は『淀橋由詩』、大学4年生。
今は資格取得の勉強と卒論の作成、研究の日々を送っていて、これまた意外と忙しく、なかなか地元に帰れない。
まどかのいる地元までは電車で3時間ほど。遠すぎることはないが、気軽に帰れる距離でもなかった。
「もちろん! じゃーあ、買ってきてほしいモノがあるんだけど」
「なに?」
まどかが俺に頼みごとなんて、珍しい。しかもおねだりをされたと思うと、どこか嬉しい気持ちになった。
高価な物でなければ買ってあげよう。なんて安易な考えをして……
「大人の玩具、買ってきて」
「……はい?」
その考えは、秒速で吹っ飛んでいった。
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