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しかしそれでも、やってもいない首吊り自殺をして死んだことにされてしまうというのには、やはり違和感と納得出来ないものがあった。 私は、また、自分が首を吊って自殺したことになっている部屋に出向いた。 廃屋の朽ち果てた一室で、周りには家具も何もない。 自殺する部屋には相応しい侘しさと荒廃ぶりと言えなくもない一室だった。 私はこの部屋で、借金をチャラにする方法を教えると言われ、待っていたのだ。 呼び出した相手が誰かは知らないが、そんなうまい話があるものかと思いつつも、深刻すぎる借金問題で藁をも掴みたくて、一応この部屋に居たのだ。 だがその相手の人物に会った覚えはない。 あの話は、私をこの部屋に留めておくための口実だったのか? 私を首吊り自殺に見せかけて殺すための。 しかし何のために? 何の恨みがあって? こんなただのクズを。 その時、不意に部屋の扉が開いた。 誰かが部屋に入って来たようだ。 警察か? だが若い男はとても警察官には見えなかった。 学生風の華奢な感じの若い男で、作業着を着ている。 それに。 不思議なことにその若い男は、部屋に入って来て私の方見るなり、「わぁー!!」と驚いて仰け反ったのだ。 ”視える”のか? 私のことが? 若い男は、私の方を極力見ないように後退りしながら、部屋を去って行こうとしていたが、その時、私はあることを不意に思いついた。     
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