ある日、私は死んでいた

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「別に化けて出ようってわけじゃないんだよ」

「いや、もう化けて出てますから」

そう言われりゃそうだ。

「いやいや、化けて出て化け物みたいに煮て食ってやろうとか、そういうのじゃないんだよ」

「煮物にされるとは思いませんでしたけど、十分化けて出てますよ」

「まあそれは認めるよ。おまけに声までかけてるしね」

「友達申請とかやめてくださいよ」

「SNSかよ！それに私は自分から友達申請しないタイプなんだよ。向こうから申請してきたのを許可したり、しなかったりするタイプだからさ」

「知りませんよ、んなこと」

「まあまあ、ちょっと話を聞いてもらいたいだけなんだよ。ちょっとだから」

「何ですか？」

「あの、実は私、ここで首吊り自殺したことになってるんだよ。警察は自殺で処理するみたいなんだけど、でも私には首吊り自殺した覚えがないんだよ」

「記憶喪失ですか？」

「違うよ。いわゆる、自殺に偽装した殺人だと思うんだが、このままでは自殺で処理されてしまいそうなんだよ」

「殺人って誰に殺されたんですか？」

「そいつがわからないんだよ。いきなり後ろから首を絞められて、気がついたら警察が来てて、首吊り自殺者扱いなんだよ」