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ある日、私は死んでいた。
よくわからない内に、私はいつの間にか死んでいた。
私が首を吊って死んでいる姿を見て、やって来た刑事が「こりゃ自殺だな」と言い放ち、他の刑事が、私に多額の借金があった話を報告。
その後、私が生前酔っ払って、借金で首が回らないことを儚み「もう死にたい」と飲み屋で口にしていたことを、店のマスターが証言し、私は首吊り自殺によって死んだことになっていった。
しかし、死んだ瞬間の記憶が曖昧なので、よくは思い出せないが、私は首吊り自殺などしていない。
だいたいあのように首を吊る準備などした覚えはない。
確かあの時、首を絞められた記憶はある。
しかし首吊り自殺なんかした覚えはないし、首を吊る準備もした覚えはない。
これは自殺に見せかけた殺人だと思う。
たぶん、私は殺されたのだ。
だが殺される理由がわからない。
私は借金で首が回らないだけの、自殺する可能性はあっても、殺されるほどの価値もない人間だ。
恨みを買っていた覚えもない。
それがどうして?
しかし、このままでは私は首吊りの自殺者として処理されるだろう。
まあ確かに、私みたいな奴には自殺という最後はお似合いかもしれない。
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