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「僕の初恋はね、高校一年生の時だった。相手は同じクラスの女子。それから二年生になって、僕から告白をして付き合い始めたんだ」
「……そうですか」
なんでそんな昔話を私に?
「で、その彼女が、今の僕の妻」
「━━初恋の人と結婚したんですか!?」
「そうだよ。おかしい?」
「いえ、そんな話、ドラマや映画の中だけかと思ってたから」
「そんな事はないよ」
笑いながら彼は言った。
「奥さんのこと、今でも変わらずに好きなんですか?」
「もちろん」
「……奥さんの方は?」
「同じだと思う」
だったらどうして、今あなたの隣にいるのがその人じゃないの?
訊いてもどうせまた、はぐらかされるに決まってる。
「……でもね、だからといって全てが思い通りにいくとは限らないんだよ」
指輪をはめた左手を、軽く反らし見つめてそう言ったあと、成瀬さんは口を閉ざした。
どういう意味?
一体、何があったの?
だけどそれ以上は、きっと立ち入り禁止。
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