明日がみえなくて

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* 今日は雨。 遠くの台風の影響で、こちらにも強い雨風が、校舎の窓を叩きつけていた。 怒るように向かってくる雨水のせいで、窓の外が見えない。 眺めるものがなくて、授業が尚更つまらなく感じた。 いっそのこと外に飛び出して、馬鹿みたいにずぶ濡れになってしまおうか。 雨に打たれ、風にさらわれ、私の体は溶けながら散り散りになり、最後は微塵もなくなってしまうのだ。 そうなれば、どんなにか楽だろう。 休み時間になると、帰りの電車が止まらないかを気にしている子も少なくなかった。 自転車通学の私は、今日はバスで来た。 こんな天気の日は、いつも母が車で迎えに来る。 それは私だけに限らず、下校時には沢山の車が路駐で道を塞いだ。 ゆとり世代。 苦労が足りない。 よく言われる。 大人は何も知らないくせに。 確かに不便を感じたことはそれ程ない。 物理的には。 だからといって、心が満たされるとは限らないのに。 ふと頭に浮かんだ。 あの人は、どうするんだろう。 私と同じように、月を眺めるのが日課になっていた、あの男の人。 月を見られない夜は、いったい何を思うのか。
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