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葬儀を終えた後、海音繋がりで親しくなった友人の星司 ( せいじ ) が、少し話をしたいと言い出した。海音ほどではないが、星司ともそれなりに長い付き合いになる。 その日は、熱帯夜と聞いていたはずだが、やけに涼しく感じられた。 しばらく無言で歩いていたが、四つ角に差し掛かった時に、星司が口を開く。 「突然過ぎて、まだ実感がわかないな」 「……ああ」 やっとそれだけを返し、何気なく空を見上げる。星が瞬くのを見れば、少しは気が紛れるかと思ったのだが、天気が良くないらしく、雲に隠れてよく見えない。ぼんやりと雲を眺めていると、星司が足を止めて振り返ったような気配がした。いつの間にか、星司より遅れていたようだ。 「あ、ごめん」 隣に並ぼうと足を踏み出しながら、星司の顔を見やると、思わぬほどに真剣な眼差しを向けていた。 「星司?」 「――お前さ、……」 何かを言いかけて躊躇う素振りを見せた後、視線を逸らして前を向く。 「なんでもない。今日、お前のとこに泊まってもいいか?」 「……え?あ、ああ。いいけど」 星司の態度に疑問を覚えつつも、願ってもない申し出にすぐさま了承する。 今夜は誰かに側にいてもらわないと、眠れなかっただろうから。
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