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「かける……」 ある晩、恋人が俺の寝顔を見ながら、別の名前で俺を呼んだ。 痛みを堪えるみたいに苦し気な声だった。 気になった俺は、狸寝入りをやめて、誰のことかと恋人に尋ねた。 すると言いづらい時に彼がいつもするように、唇の端を舐めながら、罪を告白する罪人の顔で、ゆっくり答えが返ってくる。 「黙っていて悪かった。……お前の顔は、元カレそっくりなんだ」 「―――っ」 衝撃を受け、低く息を呑む。 目の前が真っ暗になって。何も信じられなくなった。
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