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魔物、神様の使いが通る場所は、人が住んではいけない土地とされ、西日本ではそれを「ナメラスジ」
というそうです。
私の友人Aさんが体験した、恐ろしい出来事も、この「ナメラスジ」がからんでいるのではと思い、これから語っていこうと思います。
ある年のお盆、Aさんはダンナと、ダンナの実家を訪れました。
久しぶりに会う親戚も来ていて、夜遅くまで話がはずみ、さあ帰ろうとした時はもう深夜二時くらいになっていました。
Aさん夫婦は車に乗ろうと外に出たところで、ダンナがスマホを忘れたことに気づき、家の中へ取りに行き、Aさんは外でそのまま待っていました。
田舎のこと、外灯などなく、辺り一面、真っ暗です。
「わあ、星がすごい・・・。」
Aさんは夜空を見上げながら歩き、いつのまにか、実家前の道路に出ていました。
実家の向かいは空き地と空家が連なっていて、少し右に行くと川に沿って道路があります。
ふと、冷たい風が川の方から吹いてきました。
「気持ちいいな。」
歩いてすぐなので、Aさんは川に向かって足を進めました。
川べりにはカーブミラーがたっていました。
(このカーブミラーに人の顔とか映ってたら怖いなぁ)
Aさんはそんな事を思いながら、チラッ、とカーブミラーを見ました。
もちろんですが、夜の闇しか映っていません。
が、何かおかしな感じがしました。ミラーの中の闇がユラユラ動いてるようなのです。
「?」
Aさんは周りを見ましたが、辺りは暗いだけです。
その時また、冷たい風が吹きました。
「えっ。」
カーブミラーの下にいるAさんに冷たい風が吹き降ろされていました。信じられないことに、風はミラーの中から出ているようでした。
(まずいっ!)
Aさんには少し霊感がありました。
これ以上ここにいるとヤバイと思い、あわてて実家に引き返そうとしましたが、身体がいうことをききません。
目がミラーに釘付けになりました。
ミラーに映っていた闇の、左端部分が徐々に、白くなってきました。
後ろを向いていた女がゆっくりと、振り返ろうとしていたのでした。
やがて、ミラーいっぱいに女の顔が映りました。
目が合ってしまう・・・と思ったとき、Aさんはそこで意識を失いました。
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