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「いやっ!出して!!」
閉じ込めた暗い部屋。
そんなかで、泣きながら座り込んでいる1人の少女。
ついさっきまでは、ドアを叩いていた手も、今は小さく震えるだけで、なんの意味も為さない。
どこからか、声が聞こえてくる。
「もう、この子が生きる意味は…」
「じゃあもう…」
「しかし、凍堂家の…」
「もう知ったことか!あの忌み子め…」
所々途切れるその声に、1人で恐怖に震える。
「いや…誰か……」
誰か助けて…
カチャ。
扉が開く音に、少女はびくりと肩を震わせる。
そんな私に、もう大丈夫だよ。
そう言い聞かせて、外の世界へと連れ出してくれた…
あの人の名前…結局、聞けなかったな…
分かっているのは、十代後半の男。ただそれだけ。
でも、その男の人が、私の味方だということは、直感的に理解していた。
もう一度、あの人に。
そんな想いを胸に抱きしめ、少女…凍堂六花は日々を生きる。
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