弁当男子

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4月になり、うちの会社にも新入社員が入ってきた。 小規模な会社なので、今年は男女共に1名ずつの採用だった。 定年でやめた男性の代わりの採用の山田君と、家庭の事情で辞めた女性の代わりの若田さんだ。 どちらも短大卒の二十歳。 何と、俺のひとまわりも年下になるのだ。 12歳も違ったら、宇宙人と話すようなものかも知れないと身構えた俺は、32歳にしてもう、老人の気分だ。 毎日、ノンビリ生きて行きたい。 そう願っているのに、仕事は山積みになっていく。 経理を実質俺一人で担っているから、やることが満載なのだ。 新入社員の若田さんの面倒もみなければならないし、厄介な事だ。 早く彼女が一人前になってくれたら楽になるのに。 いや、社長がもっと経営に力を入れてくれれば済む話なんだが。 はあ、溜め息が漏れ出てしまう。
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