弁当男子

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昼飯を食べる時間も惜しいが、体が資本だ。 俺は三食しっかりと食べる主義なので、時間が短くても持参した弁当を食べる事にしている。 弁当は、程々に栄養バランスを考えた手作りだ。 今日もデスクの脇に設置された、くたびれた応接セットのテーブルで弁当を広げる。 デスクで食べたい所だが、書類やパソコンを汚す危険を考えると、移動せざるを得ない。 まあ、気分転換も兼ねているので、移動するのは効果的なのだが。 「課長のお弁当、いつも美味しそうですね。 愛妻弁当ですか?」 お茶を入れてくれながら、新人の若田さんが聞く。 「俺はまだ独身だ。」 「ああ、彼女さん? それともお母さんですか?」 「どっちも違う。 俺の手作りだ。」 「えっ?これ、冷凍食品とか使ってないですよね? スゴイ! 課長は弁当男子でしたか!!」 弁当男子? 弁当持ってくる奴じゃないよな。 この場合、弁当を手作りして持参する奴の事だろう。
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