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「煩い、ここ病院」
「多少は大丈夫だろ?個室なんだから」
チクリと言った蒼威さんをキッと睨み返す。この2人、蒼威さんとも知り合いなんだ…
いや、またそこで言い合いされても……
「あ、あの…その、いきなり謝られても何がなんだか…」
「そうだよ、佐々木君。ちゃんと説明しないと。ゴメンね…話蒸し返しちゃう事になるけど、この間の事件の事でどうしても佐々木君が君に謝らなきゃいけない事があるんだよね?」
チラッと綾瀬さんが佐々木さんの方を見ると佐々木さんが小さく『はい』と頭を下げた。
優しい口調で綾瀬さんが補足してくれたが、事件の事と聞いて身体が身構える。
「あの…どういう事ですか?もしかして、俺の事調べてたって…」
まさかと思いつつ佐々木さんに聞いて見ると、コクッと頷いた。
「それ、オレです。最初は所長と俺の2人で調べていたんですけど、途中からは俺単独で…。その、御子柴さんとの写真やパーティーの会場を調べて大石に連絡していたのは全部オレです…すみませんでした!」
佐々木さんがもう一度深く頭を下げた。
こういう時はどうすればいいんだろう?
『アンタの所為でどれだけ酷い目にあったか!』って怒ればいいのだろうか?
『いや、もう終わった事なので良いです』とすんなり許せばいいのだろうか?
俺にはどうすれば良いのかすぐには判断できなかった。
「そ、そうなんですね…」
そんな中途半端な返事しかできなかった。
「オレの所為で代永さんに凄い迷惑かけちゃって…御子柴さんにも謝ったんですけど、やっぱり直接代永さんに謝りたくて、今日、来ました」
俯いた佐々木さんをジッと見つめるが、直ぐに言葉が出ず部屋に重い空気が流れる。
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