出会い

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「もしもし…」 『テメェ代永!!!散々電話無視しやがって!今どこにいる?さっさと出勤して来ないか!!今日お前の給料無いからな!わかってるんだろうな!サボってる分お前の終業時間遅らせるからな!』 大声で怒鳴る大石部長の声がここまで微かだが聞こえてきた。その声に反応して俺は植え込みに再び嘔吐してしまった。吐いてしまった所を男に見られてしまい一瞬男と目があった。男は小さく息を吐いてスマホに向かって話し出した。 「申し訳ございません…私は代永ではなく、代わりの者です…彼は今電話できる状況ではなくて…」 『でもっコレは代永の携帯で…誰ですか?そこに代永いるんでしょ!!!サボってるならさっさと出してくれません?コイツの仕事が溜まってるんですよ!今日の分は全て制裁するから、これ以上引かれたくなければさっさと来いって言って会社に来るように伝えてくれません?』 俺の代わりに電話を持って話す男はもう一度俺を見る。何か大石部長が何か俺の事を言ったのだろうか? 内容まではハッキリと聞き取れないが、向こうが大声を出しているのは分かる。多分、大石部長は俺がサボってると思って怒ってるんだろう。今までは体調がどれだけ悪くても制裁が怖くて無理してでも行っていた。 薬が効いて少し動けるようになった俺は電話を代わうとして手を伸ばそうとしたが… 「ヴヴッ!!!!」 「大丈夫?!無理に動かないで!!」 薬が効いたと思ったのはどうやら思い違いで、結局嘔吐(えず)いてしまい全く動けなかった。男はもう一度電話に向かう。     
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