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また、必ずお礼しなきゃと思いながらも寝る事しか出来なかった。早く良くなってお礼言わなきゃ…
それに、早く仕事に戻らなきゃマズイ。今日の仕事を空けてしまっただけでもかなり怒られるだろう。明日には戻れるだろうか…戻ったらまた社長室に呼ばれるのだろうか…。
仕事を空けてしまった不安の方が大きくなり、また吐き気が再発する。結局、何とか押したナースコールで駆けつけた看護師に看てもらいながら、寝る事しか出来なかった。
次の日の朝、病室に入って来たのは知らない人だった。50代ぐらいの白髪混じりの男性。姿勢が良く沢山の物が入っているだろうパンパンの革バッグを持っていた。
「代永景都君だね。私はこういう者です」
そう言って男性は俺に名刺を渡した。名刺を見て俺の顔はどんどん引き攣っていく。
「……垣岡 孝直ーーー弁護士さん、ですか?」
「はい。貴方が働いているVAコーポレーションの件で来ました…」
会社名を出されてビクッと身体が震える。もしかして1日サボってしまったので、会社に訴えられたのだろうか…?たった1日だけど、あんな電話をした後だ…きっと大石部長や社長は黙っていない。
損害賠償とか請求されるのだろうか…?嫌な考えが頭をぐるぐると回っている。
「あ、の…俺、すみません。その、体調崩してしまって…直ぐ戻りますから…今すぐ」
俺はベッドから起き上がろうとしたが、垣岡さんは起き上がろうとする俺の身体を『まあまあ』と言ってもう一度ベッドに落ち着かせる。
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