出会い

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「そう、全額。支払われるべき金額はかなりの金額になっていたよ…。今の給料の数ヶ月分にはなると思うよ」 『数ヶ月分』と聞かされてちょっとホッとした。何とかその間に仕事を探さないと…戻ったらすぐハローワークに行かないと…と心配事が次から次へと溢れて来る。 考え事をしていると、垣岡さんがパンパンに中身が入った革バッグからクリアファイルに入った書類を俺に渡した。 「それで、次の就職先の事なんだけど…是非、君を受け入れたいという会社があるんだけど…ここなんだけどね」 そう言ってクリアファイルの中を見るように催促される。俺はゆっくりとクリアファイルから書類を取り出して目を通した。 『株式会社“M i C”(エムアイシー)』最近、業績を一気に上げているアプリ等の開発会社だ。元々はパソコンのソフト開発から始まった会社で意外と歴史がある会社だ。俺ですら名前を知っている結構大きな会社だ。 入る部署は……開発営業部。企業向けのアプリを開発して営業している部署らしい。アプリ開発はできないが元々俺がやりたかった仕事に近い部署だ。 手取り給与も今の会社の倍近い金額だ。 俺はどうしてこんな大きな会社が俺を入れたいと思っているのか、話が良すぎて不安と疑問しか浮かばなかった。 こんな規模の大きい会社に俺みたいな人間が入るのは不釣り合いだ。断ってしまおう…。     
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