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そのままエレベーターに乗り上の階へと上がって行く。上に登って行くにつれ緊張と不安が大きくなり吐き気がする。吐き気を抑えるためにハンカチで口元を押さえた。
「ん?もしかして高所恐怖症?」
俺の様子に気付いたのか、男が声をかける。俺は何も言わず首を横に振るだけだった。
「もうちょっとで着くから。取り敢えず着いたら水でも飲みな」
そう言って男は階数を表示しているモニターをずっと見つめていた。
改めてこの男をしっかりと見た。とにかく大きい、185センチは余裕であるんじゃないだろうか…。身体は大きいが筋肉質というわけでもなく、少しタイト目のスーツが体格の良さをきわ立たせている。
初対面でいきなりタメ口なのは気になるが…こんな大きな会社の社員なら当たり前なのかな?歳は多分俺より年下だと思う…。
そんな事を考えているとポンッと音がなり、エレベーターが止まる。何階に来ているのかなんて全く見ていなかった。
「降りるよ。こっち」
男がエレベーターから降りてどんどん進んで行く。足をもたつかせながら、男の長い足のリーチについて行くのが必死だった。
「着いたよ。ここが『開発営業部』」
いくつかのデスクをまとめた島がいくつもある。中には一つ一つのデスクが大きなパーテーションで仕切られている島もあった。
「おはよーございまーす」
男は少し大きめの声で挨拶をする。すると色んな箇所から『おはよー』『おはようございます』など色んな声が聞こえて来た。
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