3517人が本棚に入れています
本棚に追加
御子柴部長か…どんな人なのか期待と不安が入り混じる。戻ってきたらきちんと挨拶だけはしないと…
「代永くんの席は小宮の隣ね!年も近いし気になる事は小宮に聞いてね!じゃ、頑張ってね」
そう言うと佐野係長は自分のデスクへと戻って行った。俺は小宮の方を見て小さく礼をした。
「よ、代永 景都です…宜しく、お願いします…」
「小宮 勝月。宜しく、席はこっち」
小宮がデスクへと進んでいく後をついていく。通る人から『宜しくね!』と明るい声が聞こえる。
今まで会社で碌に挨拶なんてされなかったから変に戸惑ってしまう。
俺は小宮の隣の用意された真新しいデスクに腰かけた。来ただけなのに慣れない環境に既にぐったりしている。
「デスク上は好きに使って良いから。パソコンは電源入れてさっきのIDカードを読み込ませると使える様になるから」
「あっ…はい」
持ってきたショルダーバッグを置いて、荷物を片付ける。それ以外何をしていいのかわからないのでパソコンを起動させてみようと思ったら、目の前に水の入ったコップが置かれた。
「そこにウォーターサーバーとか、コーヒーメーカーとかあるから自由に使っていい。さっき、気分悪そうにしていたが…大丈夫か?」
「あっ…有難うございます」
コップを手に取り一口水を飲む。口内の粘膜、喉、食道が潤っていくのを感じる。よっぽど緊張して喉が乾いていたらしい。気づいたらコップの水を一気飲みしていた。
「ちょっと待ってて。メールだけチェックしたら社内案内するから。総務部にも行かなきゃいけないし…」
最初のコメントを投稿しよう!