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「あ、あの…何処へ?」
何も言わずに小宮は俺の手を引っ張る。エレベーターで少し下り、進んで行った先には【休憩室】と書かれていた。
「えっ…いや、俺、大丈夫ですから……」
「どう見ても大丈夫じゃない。とにかく入って」
仕方なく休憩室に入る。自販機やエスプレッソマシーンなどが並んでいて、落ち着いた雰囲気のカフェの様な空間が広がっていた。
丸テーブルでドリンクを飲んだり、談笑や打ち合わせをしている者、窓際のカウンターでノートパソコンやタブレットで仕事している者、色んな人がリラックスしたり仕事したりしていた。
奥にカーテンのかかった空間がある。いくつか細かく仕切られていて枕と布団が置いてある。まるでカプセルホテルの様な雰囲気だ。
小宮は俺に『此処で寝てろ』と俺に言ってきた。
「でも…まだ何も…」
仕事もせずに来てすぐ寝るなんて…なんだか申し訳ない。何も出来ない自分にも嫌気が指す。
「体調悪い時は誰だってあるんだから仕方ないだろ。少し寝て楽になるなら、無理して続けて後でぶっ倒れて取り返しが付かなくなるより全然良い」
『だから休め』と小宮に再び寝る様促される。
そう言われて少し気持ちが楽になった気がした。俺は小宮の言葉に甘えて少し休む事にして敷かれた布団に潜り込む。
「その…有難うございます。小宮さん…」
「別に、当たり前の事しただけだ……そう言えば代永っていくつなの?新卒?じゃないよね?」
どうやら、小宮は俺を年下に見ているようだ。確かに周りには童顔とは言われているけど…。
「あっ……あの、俺…26です」
年齢を言った瞬間、小宮が目を開いて口を手に当てて固まっていた。相当俺を年下に見ていて、俺が年上と分かってかなり驚いているらしい…
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