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「すいませんでした!!!」
静かな休憩室に小宮の大きな声が響く。カーテンをしているとはいえ、いきなり響いた大声に休憩室にいる人の視線はこっちを向いているだろうというのが分かる。
今までの態度とは一変して、小宮は直角じゃないのか?と思うほど腰を曲げて俺に詫びてきた。小宮の態度の急変に起き上がろうと思ったが、小宮に『寝てて下さい』と静止されてしまった。
「こ、小宮さん…ここ休憩室…」
「ホントすみません!最初面接の学生か何かかと思って…それでウチに用だって言ったから今度は新しく入るって聞いてた新卒かと…。まさか年上とは思わなくって…」
「あ、その…気にしないで下さい。周りからも童顔って言われますし…それに、此処での仕事は小宮さんの方が先輩ですから…」
「でも…」
「なので、さっきと同じ様に接して貰えると…その、気が、楽です…」
出来るだけ小宮が気を使わないように笑顔で伝える様にしてみたが、上手く笑えていただろうか…?
小宮はしばらく黙っていたが、フッと笑ってくれた。
「じゃあ、俺のことも『小宮』って呼び捨てにして普段通りの話し方をしてください。そしたら、俺も気にせずに話せます」
真っ直ぐ見る小宮に俺は声を出してみた。
「じゃ、じゃあ…小宮さ…ん。じゃなかった、小宮…よ…よろ、しく」
凄く辿々しい言い方になってしまったが、ちゃんと言えただろうか…。小宮の方をチラッと見るとニコっと笑った小宮がそこにいた。小宮が横になっている俺に手を差し出した。
「宜しく!代永」
「う、うん」
横になったままで悪かったが、俺も小宮に向かって手を出して、二人握手を交わした。
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