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休日
俺がM i Cに入社して2ヶ月が経った。
周りのお陰で仕事にも随分と慣れてきた。今は小宮だけではなく、周りの人のフォローや手伝いとかも少しできるようになってきた。
小宮から30代半ばだと思っていた部長は実は45歳だと聞かされた。彫りが深く整った顔とスラッとした体型で普段から若く見られると良く言ってるらしい…
普段の落ち着きは大人の余裕…みたいなものなのか?20歳近く歳の離れた俺には良く分からなかった。
俺なんかと違って仕事も容姿も何もかも完璧過ぎて近寄り難いぐらいだ。俺から話しかける事は無いが、時々御子柴部長に呼ばれる事がある。
「代永君、ちょっと」
「あっ…はい」
呼ばれて部長のデスクの前に行くと、ファイルを渡された。
「これのデータ入力と、入力が終わったらそのファイルを資料室に持って行ってくれるかな?」
「わかりました」
淡々と返事をしてファイルを受け取る。自分のデスクに向かってひたすらデータ入力を始める。データ入力は良い。入力している間は何も余計な事を考えなくて済む…。
入社して1週間の時に『初めまして』と言われて以来、距離は一切縮まる事はなく只の上司と部下の関係だ。必要以上の会話もなく最低限の付き合いだ。
あの時の事を部長に話すのは諦めた。もし、話して『何も覚えていない』なんて言われた時の方がショックが大きい。
それなら何も言わず上司と部下の関係を続けた方がまだマシだ。
いつも呼ばれる度にドキッとする。しかし最低限の会話しかしない。仕事としては当たり前なのだが何故か針で胸を突かれている感じでチクリと痛む…。
忘れたくても忘れられないのだ…何かのきっかけで俺の事思い出して欲しいと思いながら、その気配が無いと分かると胸が痛む。
部長はよく出張や打ち合わせ、会議などで居ない事が多い。居れば居るで胸が痛くなり、居なければ居ないで何故か胸が苦しくなる。
ストレスや不安とはまた違う胸の違和感の理由が俺には分からなかった。
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