休日

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林が運転をしながら、バッグミラー越しに後ろで眠っている新田をチラッと見た。 「新田も凄く心配してたぞ。連絡とる度に『景都、大丈夫かな?』っていつも言ってた。…もう俺らの連絡とる時の合言葉みたいになってた」 俺もバックミラーを見て新田と天野を見る。口開けて子供みたいに寝ている新田につい笑ってしまう。 「なんか……ごめん」 「今日もなんだか様子が変だ…って凄い気にしてた。言葉には出さないがアイツなりに明るく振舞って景都を元気付けようとしてたみたいだぞ…。天野はそれに振り回されてしまったけどな」 今度は身体を向けて改めてしっかり新田と天野を見る。新田は俺の為にテンションあげて振舞ってくれていたんだ…天野は明日バイトあるっていうのに…2人とも俺の為に元気付けようとしてくれていたなんて…… そう思うと申し訳なくて、情けなくて、今度は涙が出そうになる…出る声が涙の代わりに震えていた。 「林…新田…天野も……みんな、ごめん…」 林は大きく溜息を吐いて運転に集中する。 「何があったかとかは無理に聞かないけど……言いたくなったらいつでも言え、聞いてやるから。後、なんかあったら相談しろ。ごめんって謝るぐらいならこれ以上心配かけさせるな」 「ごめん…」 「ああっ、もう謝るな!俺らずっと友達だろ?心配するのは当たり前だけど、程々にな。今回は心配かけ過ぎだ…今度罰として全員に飯でも奢れ!」 「う、ん…わかった…ありがと、みんな…」 「そうそう!『ごめん』って言われるより『有難う』って言われた方が気分がいいな」 大きく笑った林の声に反応して後ろの2人が少し身動(みじろ)ぎする。
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