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3連休が終わって会社に出社する。途中飲み物を買いにコンビニに寄ったので、財布をそのまま持っていた。
鞄に財布を入れようと思った所に小宮が出社してきた。
「おはよ、代永。ん?財布変えたの?良いねソレ!」
「小宮、おはよう。うん…この間新しく出来たショッピングモールに行って見つけたんだ…」
「俺もソコ行ってみたいと思ってたんだよね!なぁ、今度その財布買った店紹介してよ!他にはどんな店があった?」
「えっと…他には…」
他に見た店の事とかを思い出していたら、迷子になった樹君と部長の事を思い出し胸に痛みが走った。胸の痛みは今まで感じた痛みより強くなっていた。
「あのさ…小宮。その…御子柴部長って…」
「ん?部長?どうした急に…」
「その…けっこ……んっ!!」
「部長!おはようございます!!」
小宮に『部長って結婚してるの?』なんて当たり前の質問をしようと思っていたら部長が出社してきて慌てて質問の言葉を止める。
こちらに向かってくるにつれ俺の胸はどんどん鼓動が早くなり、思わず痛みに手を当てる。
「おはよう、小宮君…代永君」
「おはようございます」
「お、はようございます…」
普通に挨拶をされたが、俺は部長の顔を全く見れなかった。忙しいフリで財布を鞄に詰め込んでパソコンを起動させた。
部長もこの間の事は何も言わず俺たちの前を通り過ぎて行く。部長がデスクに着くと止めていた息を一気に吐き出す。緊張して息を止めてしまっていた…。
「で?部長がどうしたって…?」
小宮が話を戻すが、本人の前でプライベートな事を聞いてはいけないと思い続きを聞くのを止めた。
「あっ、ゴメン。やっぱり良い」
「?変なの。さてと…仕事仕事!」
小宮もさほど気にしていないという感じでパソコンに向かい出した。
俺と部長の距離は更に広がった気がした…。
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