6人が本棚に入れています
本棚に追加
母と手を繋ぎながら歩いていると
母は近くの川にかかる通称「めがね橋」の前でふと立ち止まった。
「響、今日はね、このめがね橋にいい人が来るよ。」
母の目は橋の向こう岸を向いている。
しばらくすると、橋の向こうに人影が見えた。
よく目を凝らしてみると、そこには男の人が立っていた。
つば広帽を目深に被り、カーキ色の日除けのストールをマントのように羽織っている。
僕は怖くなって、母の後ろに隠れて、母のスカートをぎゅっと握った。
最初のコメントを投稿しよう!