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「響、大丈夫。怖くないよ。ねえ、ヒロ。」 ヒロ、と母が呼んだ男は、橋の反対からゆっくりと近づいて来た。 目深に被った帽子で顔はよく見えないが、微笑んでいるのが分かった。 「夢子さん、久しぶりだね」 男は優しげな声で母に言った。 「元気そうでよかった」 母は男に微笑みかけた。 「響、お父さんの弟のヒロだよ。あなたの叔父さん」 叔父さん、という言葉に僕は体を強張らせ、母の後ろからそろそろと男を見上げた。 すると男はしゃがんで僕の目線に合わせてつば広帽を脱いだ。 美男と呼ぶには少し平坦な顔をしていたけど、僕が見たことのないすごく優しい目をしていた。 「響、大きくなったね。ずいぶん大きくなった。」 僕は見慣れぬ叔父というものに驚き、何も言えずに母の後ろにぴったり付きながらその瞳を見ていた。
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