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「本当、子供の成長はあっという間。響はこの頃、正臣やあなたと同じ癖をするようになったんだよ。恥ずかしいときに下を向いて鼻をつまんで誤魔化すアレ」
母はしゃがんで僕を抱きしめ、嬉しそうに言った。
「兄さんや僕にそんな癖あったかな」
叔父は照れ臭そうに下を向いて鼻をつまんだ。
「ほらそれだよ」
母はそれを指差してアハハと朗らかに笑った。
僕もなんとなく恥ずかしいような居心地悪さを感じながら、叔父の仕草を見て笑った。
「抱っこさせてくれる?」
叔父は優しい笑顔で僕に言った。
僕は恥ずかしかったのだけど、叔父の優しい顔を見ていたら警戒していた心がほぐれてきたようだった。
一歩踏み出して両手を広げると、叔父は僕を左腕で抱き上げて抱きしめた。
重くなったな。大きくなった。優しい声が一層優しくなった。僕はこんなに優しい声を聞いたことがなかった。
「君に会えて嬉しい。すごくすごく嬉しいよ」
叔父は僕を撫でながら頬を僕の頭にすり寄せて言った。
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